心に慈悲を広げよう
2018年05月1日
Facebookを控えていた友人がいます。旅行などに行って投稿をすると、必ず「えーご身分やな。時間あって羨ましいわ」と言われるといいます。冗談だとわかっていてもいい気分ではないですよね。
拙僧が敬愛してやまない『男はつらいよ』の寅さんのエピソード。おいちゃんおばちゃんへ日頃の感謝のために、博とさくらが思い切って九州旅行を企画する。さあ出発!そんな時タイミング悪くふらっと寅が帰ってくる。すったもんだあって結局一人留守番を任され若干スネ気味だった寅だが、その本心は違う。帰りを待つ寅。劇中でこう言いました。
「そのときの、この迎える言葉ってのが大切だな!」
「あ、お帰り疲れたろう?さあ、上がって上がって」ねー!
熱い番茶に、
ちょっと厚めに切った羊羹のひとつも添えて出す。
ホッと一息いれたところで、
「風呂が沸いてますよ」っと手を差し出す。
長旅の疲れを、すっと落とす。出てくる。
心のこもった昼飯が待っている。ねー!
温かいご飯!しゃけの切り身 山盛りのお新香
「どうだい、旅は楽しかったかい…?」
たとえこれがつまらない話でも「面白いねー」って
聞いてやらなきゃいけない。
長旅をしてきた人は
優しくむかえてやらなきゃナー」
隣の芝生はよく見えるというが、他人をうらやみ妬んでも得はありません。世界一幸福な国といわれるブータン人は敬虔な仏教徒、彼らは他者をうらやまないと聞きます。他者をうらやむことが無意味だと悟っているからです。ただただ自らの罪障消滅を願い善根を積む。徳積を重ねる。他者の徳はどこまで行っても他者のものです。
自らの幸福を願うなら、寅さんのように常に他者を喜ばしめる心を養っていけるといいですね。寅さんって金はないけれど、自分が貧乏人だとは思っていないんですよね。「心は錦」といいます。寅さんにとって貧乏人とはお金の有る無しではありません。心が貧しいことを言うのでしょうね。
これから雨予報ですが、宇治市~久御山町の檀家さん宅へお参りに行ってきます!住職日梵